安全性の観点でオープンイヤー型イヤホンと骨伝導イヤホンが注目を集めています。耳穴を塞がないことで環境音に気づきやすくする設計ですが、この二種類のイヤホンにどんな違いがあるかまで知っている人は少ないと思います。

今回はオープンイヤー型イヤホンと骨伝導イヤホンの違いをさまざまな視点で紹介します。スポーツ中心なら骨伝導、音楽・日常使いならオープンイヤー型が向いています。自分の使い方に照らして選んでみてください。

オープンイヤー型イヤホンと骨伝導イヤホンの違い

まずはオープンイヤー型イヤホンと骨伝導イヤホンの違いを簡単に表にしてみました。

特徴

オープンイヤー型イヤホン

骨伝導イヤホン

音の伝達

空気振動により鼓膜を振動させる

骨の振動により内耳に直接伝える

音質(全般)

自然でクリア、中高音域に優れる

中音域のクリアさに強み、低音域は弱い傾向

音質(低音)

モデルによるが、密閉型に劣る場合あり

一般的に弱い

快適さ

耳への圧迫感が少なく、長時間使用でも比較的快適

耳への圧迫感が少なく快適だが、振動による違和感がある場合も

主な形状

イヤーフック型・イヤーカフ型

ネックバンド型が主流

安定性

イヤーフック型は高い

ネックバンド型で安定性が高い

周囲の音の聞こえやすさ

良い

周囲の音がよく聞こえる

音漏れ

比較的しやすい

音量を上げるとしやすい

ノイズキャンセル

低い

低い

価格帯の目安

5,000円〜2万円台

1万円〜3万円台

これらをもう少し補足していきます。

音の聴こえ方

そもそも二種類のイヤホンは音の聞こえる仕組みが全く違います。

まず、オープンイヤー型イヤホンは一般的なイヤホンと同じであり、空気の振動が外耳道を通り、鼓膜を振動させることで音を伝える仕組みです。一般的な音の聴こえ方は全てこの聴こえ方です。

一方、骨伝導イヤホンは振動を内耳の耳小骨に直接送信します。この小さな骨が振動すると蝸牛に伝わり、蝸牛内のリンパ液が揺さぶられます。それが有毛細胞に伝わって音として解釈される信号が脳に送信され、鼓膜に依存することなく音が聴こえる仕組みです。

二つの違いを画像でまとめたものがありましたので、あわせて参考にしてみてください。

音の伝わり方の違い
FUJIYA AVICのサイトより抜粋

音質

オープンイヤー型イヤホンは従来のイヤホンに近い自然でクリアな音質を提供します。特に、耳を密閉しない構造から中高音域の再現性に優れている傾向があります。

ただし、低音域の再生は耳の穴を塞がないため、迫力に欠ける場合があります。最近では低音再生を強化する技術を搭載したモデルも登場しており、オープンイヤー型イヤホンの音質は進化を続けています。

一方で、骨伝導イヤホンは中音域のクリアさに強みを持つ代わりに、低音域の再現性が弱いです。この特性から、音楽鑑賞よりもラジオやオーディブル、通話などの音声コンテンツに適しています。骨伝導の音を「薄い」と感じる人もいますが、最新モデルには低音を改善する技術を積んだものも出てきています。

外部ノイズの影響は受ける

騒音イメージ
例えばこのような色んな音が発生する場所

オープンイヤー型イヤホンと骨伝導イヤホンの両方に共通する点として、耳の穴を塞がないため、周囲の騒音の影響を受けやすい点が挙げられます。騒がしい環境下では音量を上げる必要があり、それが音漏れの原因となります。

一部のオープンイヤー型イヤホンにはノイズキャンセリング機能が搭載されていますが、その効果は密閉型イヤホンと比較すると限定的です。

つまり騒がしい場所でじっくり音楽を聴きたい、という使い方には向いていません。

なお、ランニングや自転車走行中に使用する場合は、周囲の音が聞こえやすいことが安全面での大きなメリットになります。ただし音量を上げすぎると周囲の音が聞こえにくくなるため、適度な音量を保つことが重要です。

オープンイヤー型は耳に引っ掛けたり挟んだりする

オープンイヤー型イヤホンは耳の穴に直接挿入しないため圧迫感が少なく、長時間使用しても耳が疲れにくいという特長があります。イヤーフックタイプのように耳にしっかりと固定するものや、イヤーカフタイプのように、イヤリングのように装着してメガネやマスクを着用する際にも干渉しにくく、快適に使用できます。

オープンイヤー型イヤホンの装着
オープンイヤー型イヤホンの装着

骨伝導イヤホンはこめかみに当てる

骨伝導イヤホンは耳の穴を塞がないという点ではオープンイヤー型イヤホンと同じです。違いは形であり、大半がネックバンドタイプという、後頭部を通って振動が頬骨やこめかみに当たるように装着します。安定性が高く、スポーツなどの運動時にもずれにくいのが特長です。

骨伝導イヤホンの装着
骨伝導イヤホンの装着

音漏れ

オープンイヤー型イヤホンは耳を塞がない状態でスピーカーから音を出しているため、一般的なイヤホンよりも音漏れはしやすいです。イヤホンにセットするスピーカーの位置を工夫して音漏れを少なくするようなタイプも出ていますが、ゼロにすることは不可能です。音量の調整で対応することになります。

一方で、骨伝導イヤホンはオープンイヤー型と比べると音漏れは少ないのですが、「振動による音漏れ」と「空気伝導による音漏れ」の2種類が存在します。特に骨伝導イヤホンは振動がヘッドバンド部分を伝い、周囲の人に聞こえることがあるため、図書館のようなほぼ無音の空間だと気になる場合があります。

それぞれのメリット・デメリット

オープンイヤー型イヤホン

メリット

  • 音楽や動画鑑賞に向いた自然でクリアな音質
  • イヤーカフ型はメガネやマスクと干渉しにくい
  • コンパクトで持ち運びやすいモデルが多い
  • 5,000円前後のリーズナブルなモデルから選べる

デメリット

  • 音漏れしやすいため、静かな環境での使用に注意が必要
  • 密閉型と比べると低音の迫力に欠ける
  • イヤーカフ型は激しい運動でずれることがある

骨伝導イヤホン

メリット

  • 周囲の音がよく聞こえるため、安全性が高い
  • 耳を完全にふさがないため、長時間の使用でも蒸れにくい
  • ネックバンド型は安定性が高く、激しいスポーツ中もずれにくい
  • 防水・防塵性能が高いモデルが多い

デメリット

  • 振動による独特の感触に慣れが必要な場合がある
  • 音質(特に低音)はオープンイヤー型より劣る傾向がある
  • 価格帯がやや高め(1万円〜)
  • ネックバンド型は携帯性がやや低い

どちらを選ぶべき?シーン別おすすめガイド

それぞれのイヤホンには得意なシーンがあります。自分の使い方に合わせて選んでみてください。

ランニング・スポーツ中心に使いたい

→ 骨伝導イヤホンがおすすめ

ネックバンド型は頭にしっかりフィットするため、激しい動きでもずれにくいのが魅力です。防水・防塵性能が高いモデルが多く、汗や雨にも強いです。また、周囲の音が聞こえやすいことで車や自転車の接近にも気づきやすく、安全面でも安心です。

音楽をしっかり楽しみたい

→ オープンイヤー型イヤホンがおすすめ

骨伝導よりも自然でクリアな音質で、中高音域の再現性が高いです。最近のモデルは低音域も強化されてきており、音楽・Podcast・動画鑑賞に向いています。

通勤・通学・在宅ワーク中に使いたい

→ オープンイヤー型イヤホンがおすすめ

イヤーカフ型はメガネやマスクと干渉しにくく、長時間つけていても耳が疲れません。在宅ワーク中に会話や音に気づきやすいのも便利です。電車内では音漏れに注意が必要ですが、適度な音量を保てば問題なく使えます。

ラジオ・オーディオブック・通話中心に使いたい

→ どちらも向いているが、骨伝導イヤホンの方が良いです

音声コンテンツは音楽ほど音質のシビアさが求められません。骨伝導イヤホンは中音域のクリアさが強みで、声の聞き取りやすさには定評があります。マイク付きモデルなら通話にも快適に使えます。

おすすめのオープンイヤー型イヤホンと骨伝導イヤホンは?

オープンイヤー型イヤホン

スケルトン製品を多数展開するNothing(ナッシング)が出しているイヤーフックタイプのオープンイヤー型イヤホンです。独自形状のドライバーと、軽量で耐久性の高いチタンコーティングされた特許出願中の振動板を組み合わせることで、幅広い音域を忠実に再現する音質を実現しており、専用アプリのイコライザー調整と相まって自分好みの音質にすることが可能です。

また、イヤホンの前後から出る音波によって互いを打ち消す構造になっており、これが音漏れを低減させることに成功しています。

より詳細を知りたい方は下記の記事をチェックしてみてください。

Nothing Ear (open)レビュー!一日中つけても疲れない秘密 のサムネイル

Nothing Ear (open)レビュー!一日中つけても疲れない秘密

「Nothing Ear (open)」は、革新的なオープンイヤー型デザインと最適化されたスピーカー角度により、快適な装着感と高音質を両立。耳をふさがずに自然な音を楽しめるため、テレワークやランニングにも最適です。スタイリッシュなスケルトンデザインと先進的な機能を備えた、次世代イヤホンの実力をレビュー!

AnkerのSoundcoreシリーズから展開しているイヤーカフタイプのオープンイヤー型イヤホンです。耳に挟むように装着するため、メガネやマスクと干渉せずにシームレスにフィットするのが特長です。

イヤホンの前面と背面にタッチセンサーがあり、スピーカーや選曲の操作を行えますが、専用アプリでボタン機能をカスタマイズすることが可能です。

Soundcoreシリーズはとにかく低価格でそれなりに良いものが手に入るため、まずはお試しで使ってみたい時におすすめです。

もう少し予算を上げてフィット感重視で選ぶなら、Shokz OpenFit Airのレビュー記事も参考になります。

Shokz OpenFit Airをレビュー!ワークアウトに最適な開放型イヤホン のサムネイル

Shokz OpenFit Airをレビュー!ワークアウトに最適な開放型イヤホン

Shokz OpenFit Airを徹底レビュー。耳を塞がないオープンイヤー型でありながら、高音質なリスニング体験を実現。軽量・快適な装着感で、ワークアウトやテレワークにも最適。音漏れを抑えた独自技術や、直感的なアプリ操作も魅力。カナル型が苦手な人におすすめしたい高品質イヤホンです。

骨伝導イヤホン

骨伝導イヤホンのパイオニアであるShokz(ショックス)の代表作であり、エントリーモデルにあたる製品です。ネックバンド型のチタンフレームの先端にスピーカーが搭載されており、これを耳に引っ掛けるようにして装着します。

また、高い防塵性能と防水性能を備えており、激しい運動や悪天候でも使えます。

加えて、急速充電に対応しており、最短10分の充電で最大1.5時間の使用が可能です。

より詳細を知りたい方は下記の記事をチェックしてみてください。

Shokz OpenRunレビュー!骨伝導入門に最適な一台 のサムネイル

Shokz OpenRunレビュー!骨伝導入門に最適な一台

Shokz OpenRunを徹底レビュー!骨伝導イヤホンの定番モデルとして人気の本製品は、長時間快適に使える軽量設計とIP67防水・防塵性能、8時間連続再生など高い実用性を兼ね備えています。耳を塞がず、運動や仕事にも最適な使い心地を詳しくご紹介します。

ShokzのOpenRunシリーズの最新モデル(2025年3月時点)です。従来のOpenRunとサイズ感はほぼ変えず、骨伝導と空気伝導の二つのスピーカーを組み込むことで、低音を中心とした音質の向上に成功したモデルです。骨伝導イヤホン特有の振動もかなり抑えられており、違和感の低下に成功しています。

また、こちらの製品は専用アプリに対応しているため、イコライザー機能を使って音質を自由に調整することが可能です。骨伝導イヤホンのネックでもあった音質の部分を底上げした製品です。


今回はオープンイヤー型イヤホンと骨伝導イヤホンの違いをさまざまな視点で紹介しました。これまではマイナーなカテゴリーではありましたが、技術の進歩により見た目も性能もどんどん向上しています。音質だけでなく安全面にも配慮した製品が欲しい方は、ぜひチェックしてみてください。